新型インフルエンザ関連図書 書評 update:2010.1.22

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1冊目. ウイルスパニック 新型インフルエンザ 大感染の恐怖




ウイルスパニック 新型インフルエンザ 大感染の恐怖(マイコミ新書)
自分の身は自分で守る為に、本書の知識が必ず役に立つ。

厚生労働省は、新型インフルエンザの流行時(パンデミック)に全国民の1/4の3200万人が罹患し、そのうちの2%、64万人が死亡すると見積もっています。つまり200人に1人が死亡するのです。米国福祉保健省の見積もりは何とその10倍(死亡率は20%です。)現代に現れた最大の疫病対策に我々は本気で取り組む必要があります。

それには、新型インフルエンザに対する正しい知識の獲得と、予防策、そして備蓄が重要になります。

本書には、現在考えられる予防策が分り易く述べられます。治療薬のタミフル・リレンザは、ウィルスの表面たんぱく質ノイラミニダーゼを阻害し、症状の進行を抑えます。既に一部の医療関係者に接種が始まったプレパンデミックワクチンや、毎年行っている通常インフルエンザの予防接種は、ブースター効果や交差免疫によりパンデミック時に症状を和らげる可能性があります。そして感染中断免疫は、リスキーですが確実な予防策です。また、細菌性肺炎の併発を防ぐために肺炎球菌ワクチンの接種も勧めています。タミフルやリレンザの個人備蓄が難しい場合、葛根湯・麻黄湯・銀ギョウ散等の漢方薬は、インフルエンザに対する解熱効果が確認されています。

局所的な災害では済まない新型インフルエンザ(パンデミック)では、誰かがあなたを助けてくれる事は期待できません。自分の身は自分で守る為に、本書の知識が必ず役に立ちます。

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2冊目. 新型インフルエンザ・恐怖のXデー (PHP Paperbacks)




新型インフルエンザ・恐怖のXデー (PHP Paperbacks)
明日来るかもしれないWHENに備えるための必読書だと言えそうです。

恐ろしいタイトルの本なので、恐怖を煽るだけ煽って中身のないトンデモ本の類かも知れないと思って手に取りましたが、中身は国立感染症研究所の研究員によるきちんとした新型インフルエンザ対策本でした。まず、はじめにで、以下のように断言するところから始まります。


「この新型インフルエンザの発生する時をXデーとすると、Xデーはいつとは明言できませんが、必ずやって来ます。そして、そのXデーは、WHO(世界保健機構)では、IFではなく、WHENの問題とされているのです」


第一章では、いわゆる普通のインフルエンザが、もともとは弱毒型の鳥インフルエンザから発生したものであることや、すでにヒト-ヒト感染が実際に起こったと思われる可能性があること、など新型インフルエンザについての事実と予測が語られます。

第二章では、もし新型インフルエンザが発生したら、家に2か月籠城せよ!とし、そのために、食料品、水と飲料、などを2ヶ月分備蓄すべしと述べています。

第三章は特に役に立つ情報が満載で、自分と家族を守る7つの対策をまとめてあります。1. インフルエンザの理解、2. 医療サービスを確認する・・・新型インフルエンザが疑われる場合の受診先、3. 正しい手洗いを習得する、4. 適切にマスクをつける、5. 咳エチケットを身につける、6. 過労を避け、バランスのよい栄養をとる、7. 季節のインフルエンザワクチン接種を受ける となっていて、新型インフルエンザに対して具体的にどのように対策をすればよいかが語られています。

この本は、「新型インフルエンザってすごい!」という驚きで始まります。そして途中からは、「自分はどうなりそうか、家族はどうなるのか」、と考えさせられ、最後には「具体的に何を備えておけばよいのか、発生したらどこに行けばよいのか」というアクションをイメージするところで終ります。明日来るかもしれないWHENに備えるための必読書だと言えそうです。

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3冊目. 史上最悪のインフルエンザ-忘れられたパンデミック 新装版 付「パンデミック・インフルエンザ研究の進歩と新たな憂い」




史上最悪のインフルエンザ-忘れられたパンデミック 新装版 付「パンデミック・インフルエンザ研究の進歩と新たな憂い」
新型インフルエンザの発生と流行に季節は関係ない。我々は、正しく恐れる必要がある。

概して我々は、死亡率は低いが早晩自分たちが関わることになるはずの現実的な病気より、自分たちがほとんど罹りそうにもない高い死亡率を持つ病気の方にずっと恐怖を抱くものである。(序文より)


本書は、1918年3月のボストンから始まり、わずか4ヶ月で地球を一周し、その後の1919年春までに世界で4000万人とも言われる犠牲者を出したスパニッシュインフルエンザのアメリカでの記録である。ボストンでの鼻かぜが、再度米国を襲う時(7・8月)、すでにパンデミックは始まっていた。第1次世界大戦の終盤に、この戦争で亡くなるよりもずっと多くの人がインフルエンザで亡くなっていると言うのに、フィラデルフィアでは、市民は戦勝にうかれ、サンフランシスコではマスクを付ける付けないで争いが起こる、ヨーロッパ戦線に向かう船の中では、9月〜11月のわずか2ヶ月間で4,000名もの米国兵が、定員オーバーの環境の中で亡くなっている。

一方、米国領サモアでは、インフルエンザの防疫に成功し、アラスカでは壊滅的なダメージを受けている。米国は、このインフルエンザ(1918秋〜1919春)で、少なくとも44万にもの犠牲者を出し、その数は2度の大戦とベトナム戦争での犠牲者42万人を優に超えると言うのに、その記憶は失われ、21世紀の今同じ轍を踏もうとしている。

新型インフルエンザの発生と流行に季節は関係ない。我々は、正しく恐れる必要がある。

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4冊目. 飛行機に乗ってくる病原体―空港検疫官の見た感染症の現実 (角川oneテーマ21)




飛行機に乗ってくる病原体―空港検疫官の見た感染症の現実 (角川oneテーマ21)
「いつわれわれは準備を完了するのだろうか」そんなことを考えさせられた一冊であった。

元関西国際空港の空港検疫官として、感染症の侵入防止業務に携わった著者が2001年に書いた本である。この時点では鳥インフルエンザはそれほど大きな脅威として認識されていなかったこともあり、黄熱病、マラリア、コレラ、ペスト、エイズなどの感染爆発の歴史や、O157、狂牛病などが日本社会においてどのように受け止められたかについて記されている。

著者は言う。

「古来より、病原体は人間の生活を脅かす恐ろしい敵であった。しかし、科学の勃興とともに仇敵を撲滅できる可能性がほのかに見え、20世紀のある時期には、それが実現される日も近いと思われた」「だが敵もさるもの、こちらの裏を書くやり方で復活を遂げてきた。抗生物質耐性菌や駆虫剤耐性昆虫は、今や世界中に広がっている。そもそも、人間などよりも遥かに長い時間を生き抜いてきた細菌を簡単に撲滅できるなどと考えたこと自体、愚かな思いあがりであった。」

インフルエンザもしかりである。気がつけばタミフル耐性種が生まれ、やがて人−人感染を普通のこととしてしまうかもしれない。

さて2001年時点において著者の心配は、日本にはいってくるところよりも、はいった後にある。

「感染症に対する対策があまりにも水際対策に偏り過ぎている点だ。空港でのチェックがときに行き過ぎと思えるほどに厳重なのに対して、いったん国内に侵入してしまった感染症に対する対策はほとんど取られていないような気がする」

この本が書かれてから8年、日本においても鳥インフルエンザ対策は取られてきてはいる。しかし、すでにいつ起こってもおかしくないと言われる感染爆発に対して、医療機関や官民に十分な体制ができているとは到底思えない。

「いつわれわれは準備を完了するのだろうか」そんなことを考えさせられた一冊であった。

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5冊目. 四千万人を殺した戦慄のインフルエンザの正体を追う (文春文庫)




四千万人を殺した戦慄のインフルエンザの正体を追う (文春文庫)
インフルエンザをめぐる研究者の世界を、のぞき見ることができる良書。

1997年3月、香港でH5N1型インフルエンザが人へ感染し、世界を震撼させた。インフルエンザ研究者達は、未来に起こるパンデミックを防ぐため、あるいは功名心の為に、80年前に世界を席巻したスペイン・インフルエンザの正体に迫る。


生きたウィルスを求めて、1918年にノルウェーのスバールバルの永久凍土に埋葬された7人のインフルエンザ患者の肺を求めるダンカン、PCR法によりスペインインフルエンザの塩基配列を明らかにするトーベンバーガー、遡ることアラスカの永久凍土から同じインフルエンザで亡くなった肺を、トーベンバーガーに提供するフルティン。そして、彼等の発見は、抗インフルエンザ薬の開発へと繋がっていく。


スペインインフルエンザの正体を追う研究者達を、ドラマチックに描くノンフィクション小説。インフルエンザをめぐる研究者の世界を、のぞき見ることができる良書。お勧めです!

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6冊目. 麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか




麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか
いざその時、私たちは新型インフルエンザを防げるのだろうか?

日本は感染症大国と言われている。日本でも数少ない感染症専門医である著者が、感染症対策における日本の問題点をえぐりとる。

本書を読めば、風邪に抗生物質が効かないこと、それなのに使用することで却って耐性菌を作っていること、医療に100%はないとのリテラシー、ワクチンの正しい使用方法、予防医療の大切さなどに気付かされる。


さて、そんな著者の考える新型インフルエンザ対策の問題点は、何が怖くて何が怖くないのか、正しい認識を持つことと、薬の備蓄や医師の招集などと言ったことでなく、人権問題や倫理問題の議論、社会を維持するための議論の不在、さらに新型インフルエンザに罹ったら、軽傷ならば自宅安静、電話での患者応対等の具体的施策を提案する。

著者は、公衆衛生的にパンデミックを封じ込めるために、為政者の勇気が必要だと言う。いざその時、私たちは新型インフルエンザを防げるのだろうか?

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7冊目. 新型インフルエンザ上陸その時どうする?生き残りハンドブック




新型インフルエンザ上陸その時どうする?生き残りハンドブック
基本的な対策のありかたを平易にまとめたハンドブック。

新型インフルエンザに関する基礎知識と、個人や学校、企業などにおける基本的な対策のありかたを平易にまとめたハンドブック。

特に、新型インフルエンザ発生時に、個人が家庭でどのように対処していけばよいかについてまとめてくれているところが役立つ。


手洗いの方法がわかりやすく図解で示され、備えておくべき食糧や水、日用品や感染症指定医療機関などのリストが載っており、また家族が感染した場合にはどのように対処すればよいか、なども示されている。企業を中心とする団体の担当者向けのコンテンツが多い中で、これらはコンパクトかつ良くまとまっている。

とはいえ、出版されたのが08年の12月でまだ数カ月しかたっていないにもかかわらず、すでにヒト‐ヒト感染が疑われるなど新型インフルエンザを取り巻く環境がどんどん変わってきている。この変化の速さに対応するためには、こういったハンドブック的なコンテンツは、最新版をウェブに掲載するなどの補助的な情報提供を合わせて行うことが必要かもしれない。

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8冊目. NHKスペシャル 最強ウイルス―新型インフルエンザの恐怖 (NHKスペシャル)




NHKスペシャル 最強ウイルス―新型インフルエンザの恐怖 (NHKスペシャル)
映像をベースにしているだけに、すべての記述と行間にリアリティが感じられる優れた書である。

2008年1月に放送されたNHKスペシャルを下敷きに、取材記録を加えて新たに書き起こされた本である。当時はあまり知られていなかったパンデミックの脅威を世に知らしめた番組だけあって、周到な取材がなされており、記述もわかり易く丁寧でかつ面白い。

2006年にインドネシアで起こった集団感染についての章では、現地スタッフやWHO職員、WHO本部などの動きが臨場感をもって伝わってくる。また、実際にパンデミックが発生したときに、限られた医薬や医療機器を誰に対して使用するかという優先順位付けの難しさには、わがことのように悩まされる。

ニューヨーク州で試行錯誤を重ねているこれらの優先順位の設定だが、まだ何もなされていない(だろう)日本でパンデミックが発生したならば、人間の命に順番をつけるという難しい仕事を現場の医師の裁量にまかせてしまうことになってしまう。これはあまりにも酷な話だ。

人を助けるための献身的な行為が人から恨まれる行為となってしまう可能性がある。一定以上の確率で起こる可能性のある事象である以上、平時の今、国民的な議論を重ねながら、優先順位を事前に決めておかなくてはならない。

また、H5N1の脅威についてもパンデミックをいつ起こしてもおかしくないという専門家もいれば、起こりにくいという専門家、中間的な専門家などいろいろな意見を広く紹介していてバランスも取れている。このあたりも、ただ脅威をあおる類書とも異なっている。映像をベースにしているだけに、すべての記述と行間にリアリティが感じられる優れた書である。すでにTV番組のほうもDVDとして発売されているようだから、合わせて見ることをお勧めする。

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9冊目. 災害防衛論 (集英社新書 (0416))




災害防衛論 (集英社新書 (0416))
現代の人にも社会にも必要な力として「災害弾力性」を説明する。

著者は災害心理学者、正常性バイアス--災害時に人はパニックを起こさない--事を紹介した「人はなぜ逃げおくれるのか」は有名。

そんな著者が、現代の人にも社会にも必要な力として、災害弾力性を説明する。


災害そのものをコントロールしようとしてきた姿勢を能動的安全とよび、反対に防ぐことのできない災害に対して、その発生を前提とした受動的安全が重要だという。起こる災害に対して、抵抗力を高め、そして災害後の回復力をつける。こうして災害弾力性が高まれば、現代の災害事情に対応できるはずだ。


現代の災害事情を代表する新型インフルエンザ・パンデミックによる予想される大きな災害が、著者が本書を記すことになった大きなキッカケであることは間違いない。

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10冊目. パンデミック追跡者




パンデミック追跡者(第一巻・第二巻)
少し力を抜いて読む近未来パンデミック小説。

著者である外岡立人氏の持論は、新型インフルエンザが流行したら、発熱後48時間以内にノイラミニダーゼ阻害剤であるタミフルやリレンザ(抗インフルエンザ薬)を服用し、体の中に免疫を作ると言う「感染中断免疫法」。もちろん、小説の中の主人公も使用している。


医者であり、小樽保健所長を経験し、「鳥および新型インフルエンザ海外直近情報」と言うWEBサイトで、最新の情報を開示している著者の小説。中国広東省でSARSが、そして香港へ、一人の日本人医師だけがその危険性を察知、やがてSARSは日本へやってきたが、世界的な流行を前に風邪に変異。実はその時すでに、H5N1(新型インフルエンザ)の芽は出ていた。日本発のパンデミックを主人公は防げるのか?少し力を抜いて読む近未来パンデミック小説。

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11冊目. パンデミック・シミュレーション ~感染症数理モデルの応用~ (tan Qブックス)




パンデミック・シミュレーション ~感染症数理モデルの応用~ (tan Qブックス)
弱毒がゆえに安心しきっている私達の襟を正してくれる書。

著者は、国立感染研究所感染症情報センター主任研究官。パンデミックの感染拡大シミュレーションを作成している。東京八王子での新型インフルエンザ最初の感染者から始まり、徐々に感染者が増えていく様子を地図上に赤い円が拡がって行く動画と言 えば、見たことのある方も多いと思う。※新型インフルエンザシミュレーション動画(アニメーションgif画像)


本著が書かれたのは、WHOでフェーズ4が宣言される直前であり、著者の言うとおり発生前夜の考え方を記した歴史書としての意味が濃い。しかしながら、著者のシミュレーションはパンデミックを改めて思い直す上で尚新しく、弱毒がゆえに安心しきっている私達の襟を正してくれる。基本的な対策は伝染らない事、そして伝染さない事であることに変わりは無い。そのための外出自粛はどの程度必要か? そして効果があるのか? 著者によれば、致死率0.18%が分かれ目となる。パンデミックでの被害を最小化するために、私達が取るべき手段は自明である。今一度、家庭の備蓄を見直さなければならない。

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12冊目. 豚インフルエンザの真実―人間とパンデミックの果てなき戦い (幻冬舎新書)




豚インフルエンザの真実―人間とパンデミックの果てなき戦い (幻冬舎新書)
自分の身は自分で守る、防災の基本を改めて考え直させる新型インフルエンザ・パンデミック評論。

豚インフルエンザの発生から現在のパンデミック宣言までを、自らが主催するWEBサイト「鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集」でのコメントを追うことで振り返る。そして、歴史上のパンデミックをひも解きながら、鳥インフルエンザ(H5N1)の不気味な予兆についても警鐘を鳴らす。新型インフルエンザ対策は、大きく薬学的対策と非薬学的対策とに別れ、我々がとれる対策は後者の社会的隔離対策(感染者が周辺にウィルスを感染させないための学校の休校等)である。
2009年春の豚インフルエンザ対策に、それまで考えられていた対策が全く機能しなかったことは記憶に新しい。今後は、危険度別対策と個人レベルまでの問題の共有化が必要であると筆者は言う。
後書きに、「主体的に自分達の住む社会を守ろうという意識は、日本ではいまだに芽生えていないように、筆者は思う」とある。市民社会が成熟している欧米での対策は、咳エチケットと感染者が外出を控えるための家庭での備蓄が中心のもの、地域をパンデミックから守るための主体的な対策が取られている。
自分の身は自分で守る、防災の基本を改めて考え直させる新型インフルエンザ・パンデミック評論です。

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13冊目. パンデミック・フルー襲来〜これが新型インフルエンザの脅威だ〜(扶桑社新書)




パンデミック・フルー襲来〜これが新型インフルエンザの脅威だ〜(扶桑社新書)
鳥インフルに関する記述に目新しいものは無くどちらかと言えば恐怖を煽る類の小説。

「クライムハイ」って映画をご覧になられましたか?  御巣鷹山にJAL機が墜落した事故を追う特ダネ事件記者の話です。本書は同じ1985年を背景に、H5N1が横浜でアウトブレイクするその瞬間を追う事件記者を元社会部の記者が描いたサイエンスフィクションです。鳥インフルエンザに関する記述に目新しいものは無く、どちらかと言えば恐怖を煽る類の小説かもしれません。新聞がパンデミックをどのような目で見ていたか?パンデミックを一つの社会現象と見て、マスコミの目線を知るには良い本です。しかしながら、H1N1によるパンデミックの脅威にさらされている現在では、警察や国家権力による情報統制と、横浜にパンデミックを封じ込める対応に終わるのには、少々不満が残ります。
「国民ひとりひとりが、その脅威を正確に認識して冷静に行動することが何よりも大切である」との著書の言葉には同感です。
改めて2009年4月以前に、新型インフルエンザがどのように怖いと思われていたのか、考え直すのに良い機会です。

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14冊目. 新型インフルエンザはなぜ恐ろしいのか (生活人新書)




新型インフルエンザはなぜ恐ろしいのか (生活人新書)
新型インフルは大したことないとタカをくくった我々の間違いを正しこれから始まる本当の脅威を話す。

元WHO西太平洋地域事務局、現東北大学教授のパンデミック専門家の押谷仁氏とNHKスペシャル「最強ウィルス」製作者の虫明英樹氏が対談、新型インフルエンザは大したこと無いとタカをくくった我々の間違いを正し、これから始まる本当の脅威を話す。
2009年5月の流行は、パンデミックの全貌から見れば、第一波とよべるほどの規模では無かった。季節性インフルエンザがそうであるように、散発的な流行が各所で始まり、重傷者は後から増えてくる。これから迎える秋・冬が本当の第一波であり正念場だ。慢性疾患のある人や老人ばかりでなく、健常者からも一定の確率で(細菌性で無く)ウィルス性肺炎による死者が出てくる。押谷氏は、この騒ぎの最初から、感染者の数(母数)を気に掛けていた。致死率は、スペインインフルエンザ(2%)ほど無くとも、母数が多く、そして20代から50代と言う、季節性インフルエンザとは明らかに違う年齢層への感染と致死は、無視できない問題だ。
CDC(米国疾病センター)は、現在の新型インフルエンザの致死率を、0.1〜0.5で見積もっており、米国国家安全保障会議は、ある程度の犠牲者を許容しても社会機能を維持しようとしている。一方で、日本の厚生労働大臣の「季節性と同じ」との認識は、リスクセンスに欠けている。季節性インフルエンザは凌げても、それを越える想定が日本ではされていない。

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15冊目. 風邪の効用 (ちくま文庫)




風邪の効用 (ちくま文庫)
著者曰く「熱がある咳が出るから大変と思う心が病気だ」

野口整体の創始者である著者が、風邪に対する持論と治癒法を解説する。
著者によれば、風邪は体の偏りを正す調整作用だから、治療しないで経過させる。体に悪いところがあると、体が風邪を引いてそれを正すと言う訳だ。確かに、人間の体には免疫システムが存在し、交感神経と副交感神経のバランスが良ければ、免疫が良く働き、病気にならない事が知られている。
本書では、風邪で体の調整をし、癌や麻疹、猩紅熱(しょうこう熱)までも治してしまう。残念ながらインフルエンザについての記述は無い。しかしながら、背骨で呼吸をして、気を通しながら体を調整して、42度から45度のお風呂につかって汗をちゃんと流していれば、風邪もインフルエンザも、それほど恐れないでも良い様に思えてくるから不思議だ。どんな病気も自然と治る、我々の体内にはそんな調整機能がある。熱がある、咳が出るから大変と思う心が病気だと著者は言う。

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16冊目. 予防接種へ行く前に―受けるこどもの側にたって

  • 毛利子来,母里啓子,ワクチントーク全国「予防接種と子どもの健康」攻略本編集委員会
  • ジャパンマシニスト社
  • 2006-07
  • アマゾンで詳しく見る



予防接種へ行く前に―受けるこどもの側にたって
ワクチンは万能ではありません。情報を元に自己責任で接種を決めなければいけません。

本書は、厚生労働省が発行する親向けパンフレット「予防接種と子どもの健康(2006年3月版)」への「攻略本」です。とはじまります。  現在、新型インフルエンザへの有効な対策の一つとして、ワクチンの接種が話題となっています。厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン(A/H1N1)の接種について(素案)」には、「現在、国内で使用されている季節性インフルエンザワクチンは、重症化や死亡の防止について一定の効果はあるが、感染防止、流行の阻止等に対しては、効果が保証されるものではない。また、極めて稀ではあるが、重篤な副反応も起こりうるものである。」とした上で、「新型インフルエンザワクチンも基本的に同様と考えられる」としています。  本書冒頭の「10万人に一人の死亡事故が起こるワクチンだと、接種させる側から見れば0.001%の事故発生率でも、事故にあった子供や親から見れば100%の事故発生率です。」との言葉には、考えさせられます。ワクチンは万能ではありません。情報を元に自己責任で接種を決めなければいけません。
さて、本書によれば、「季節性インフルエンザワクチンによる重篤な副作用として、ショック、アナフィラキシー様症状:まれにショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹(じんましん)、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあり、そのほとんどは接種後30分以内に生じる。ギランバレー症候群、けいれん、急性散在性脳脊髄円(ADEM)、肝機能障害、黄疸、喘息発作があらわれる等の報告がある。またその他の副作用に、過敏症による発疹、蕁麻疹、紅斑、掻痒(そうよう)があらわれることがある。全身症状として、発熱、悪寒、頭痛、倦怠感を認めることがあるが2〜3日で消失。局所症状として、発赤、膨腫、疼痛を認めるが2〜3日で消失。」とあるので参考にしたい。

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17冊目. インフルエンザ パンデミック (ブルーバックス)




インフルエンザ パンデミック (ブルーバックス)
『新型ウィルスは季節性インフルエンザと同じ』では決してない。(本文より)

著者は新型インフルエンザの世界的権威、2009年4月に初めて流行が認められた豚インフルエンザウィルスの今秋冬の流行や、鳥インフルエンザ(H5N1)が忘れられている事へ警鐘を鳴らす。
本書には、インフルエンザウィルスのたんぱく質レベルの構造から、その増殖、感染、変異のメカニズムを解き明かす。1918年にパンデミックを起こした通称スペインインフルエンザウィルスをリバースジェネティックスにより完全復活させた上でカニクイザルへ感染させる実験では、その想像以上の病原性に驚かされる。ほんのわずかなたんぱく質の変化で、病原性は大きく変わる、そのような病原性を新型ウィルスが獲得するにいたらないと誰が言えるだろうか?&nbsp;&nbsp;インフルエンザを最も良く知っている著者は警告する。その上で、株が一致してのワクチンの予防効果が70%程度であること、今のところ耐性ウィルスの発現があるものの、タミフルやリレンザ、富山化学のT-705などの新薬も含めた抗インフルエンザ薬が有効である事を記す。インフルエンザウィルスについて今知りたいことを丁寧に説明した書。

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18冊目. インフルエンザ21世紀 (文春新書)




インフルエンザ21世紀 (文春新書)
パンデミックが終わった、と感じさせる本でした。

サイエンスホラー「パラサイトイブ」で有名な著者が、新型インフルエンザ・パンデミックの研究で最もホットな研究者達を個別にインタビュー。いったいパンデミックとは何だったのか?を問いかける。
スペインインフルエンザの研究者を追った著作はあるものの、21世紀のパンデミックを追った日本の科学者達にスポットライトあてた作品は珍しい。
父親がシアル糖鎖を研究しつづけた研究者であった事が、他の作品では見られないインフルエンザへの視点となっている。
本書は、日本における21世紀のパンデミックを正しく後世に伝える歴史書である。
世界をリードする日本の研究者達のインフルエンザウィルスとの闘いは、まだまだ続いている。

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書評 by 非常食 サバイバルフーズの[Seiさんのお店 総本店]店長:平井