宮城県は東日本大震災による地震や津波で沿岸部を中心に甚大な被害が生じました。また、近年では台風や大雨による被害も増えています。こうした自然災害にどう備え、命を守るべきか……防災推進課主事の桂田航汰さんにWEB会議のツールを用いてお話を伺いました。

Q.防災推進課の取り組みについてお聞かせください

防災推進課

さまざまな活動がありますが、例えば町内会や自治会といった自主防災組織に所属している方などの中から、県の講習を受けて知識や技術を身に付けた方々を「宮城県防災指導員」として認定しています。平時には地域への防災情報の提供、災害時には避難所の運営等の役割を期待しています。

また、防災においても多様な視点を持つことが大切です。そのため女性防災リーダーを対象に、日頃の防災活動を通して感じていることなどを意見交換していただき、地域防災に女性視点を取り入れる取り組みも進めています。

Q.「みやぎ防災フォーラム」とはどのような催事でしょうか?

県民の防災意識を高めてもらうためのイベントで、年に1回、各市町村から会場を選んで開催しています。直近で発生した災害や救助活動の事例紹介などをしており、昨年は令和元年東日本台風がテーマになりました。

毎回、防災に関心のある県民の皆さんが多数参加されています。

Q.出前講座も行っていらっしゃいますね

防災推進課の出前講座では、職員が地域に出向き、自分の命を自分で守る「自助」や、地域で協力して互いを守る「共助」の大切さを説明しています。

近年は毎年のように台風や大雨に見舞われるため、災害情報の収集方法や他の地域における取り組み、先進事例などをお伝えしています。また、スマートフォンやパソコンに慣れていない方には、テレビのリモコンでdボタンを押すことで近くを流れる川の水位や降水量が分かることも伝えています。

Q.宮城県沖地震を教訓とした防災訓練を実施されていると伺いました

1978年6月12日に発生した宮城県沖地震を契機に県では、毎年この日を「みやぎ県民防災の日」とし、発生の翌年から総合防災訓練を実施しています。

当日は東日本大震災級の地震・津波に見舞われたと想定し、県庁内の講堂に災害対策本部を設置します。そして警察や消防、自衛隊、インフラ各社をはじめ各機関との連携をシミュレートするなど、運用についても確認していきます。

また、県職員を被災市町村に向かわせる初動派遣も訓練します。実際に行動して流れを確認し、さらに電波障害を想定した通信訓練も行います。なお各市町村や町内会では、独自の防災訓練を行っています。

Q.安全な避難先を確保するための取り組みはいかがですか?

各市町村で災害ごとの「指定緊急避難場所」や「指定避難所」が決められています。前者は災害から命を守るために緊急的に避難する広場や公園のような所です。後者はご自宅が被災された方等が一時的に滞在することを想定した、公民館や体育館等の施設です。

地域によっては、「大雨や台風の際には避難できても、津波が来たら利用できない」という施設もあります。避難先の一覧は各市町村の地域防災計画やハザードマップに記載されている他、ホームページや印刷物でも確認できますので、ぜひお住まいの地区の避難場所等を家族で確認してみてください。併せて、ハザードマップで居住地域の災害リスクも事前に確認しておきましょう。

Q.コロナ禍になり、どのように対応が変わりましたか?

例えば「新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営ガイドライン」を策定し、市町村に周知しています。

避難所のレイアウトも、これまでは家族単位で仕切るというシンプルな案で十分でした。しかし現在は世帯ごとに分けて間隔をあけた上で、不特定多数の出入りに対して避難者だけの導線を確保するなど、かなり細分化されています。加えて、感染者および感染の疑いがある人との空間を分けることも必要です。

Q.家庭でまず準備してほしいことは何ですか?

大地震が発生したら、行政の支援が届くまでに3日ほどかかると言われています。食料や生活物資の備蓄をはじめ、非常持出品の準備、家具の転倒防止については、すぐに取り組んでください。

食料備蓄には、普段から食べているインスタントラーメンやフリーズドライ食品を少し多めに購入し、期限の早いものから順に消費して、減った分を買い足していく「ローリングストック」という方法もあります。

また非常持出品は、自分や家族にとって必要な物を、避難時に持ち歩ける分だけ用意しましょう。例えば、災害発生時には持病の薬が入手できなくなる可能性もあります。必要量を確保しておくとともに、おくすり手帳も持参するようにしましょう。

非常持出品の例や、家具の転倒防止のための具体例は宮城県のホームページにも掲載しています。どうぞご参照ください。

非常持出品について

転倒防止について

Q.県内の各地域における防災活動について教えてください

地域の防災活動事例をまとめた「みやぎ地域防災のアイディア集~持続可能な防災まちづくりのために~」をインターネットでご覧いただけます

その中でも特徴的な「土手の花見」型防災について紹介します。

「土手の花見」とは、冬の寒さや雪で弱った土手で花見を開くことで、集まった人々によって堤が踏み固められ、かつコミュニケーションも図れるという昔ながらの知恵です。「楽しく取り組み、結果的に防災につながっている」ことがポイントで、例えば芋煮会を開いて盛り上がりつつ物資調達と炊き出しを訓練し、コミュニティの団結力も向上させています。

Q.実際に災害が発生したら、まず何をすべきでしょうか?

落ち着いて、とにかく命を守ってほしいです。冷静さを保つためにも「揺れたらどうするか」「職場や学校で被災した後はどこに集まるか」「連絡の手段をどうするか」など、普段から家族で話しておくことが重要です。

とはいえ、非常時に右往左往することも否めません。そこで一つ、風水害に対する自分の行動計画表「マイ・タイムライン」の作成を強く推奨します。

地域の洪水ハザードマップから身の回りのリスクを把握し「大雨注意報が発令されたら何をすべきか」「警報に変わったら対応をどう変えるのか」「家から何を持ち出してどこに避難するのか」と、自らとるべき行動を時系列で整理していくものです。平常時に確認しておくことで災害時に、「何をすればいいのか分からない」となってしまうのを防げるはずです。

国土交通省が作成している検討ツールを紹介するので参考にしてください。

Q.今後の取り組みを教えてください

防災の情報発信および知識の普及啓発を継続し、県民の皆さんに地域活動への参加や家庭における対策などを呼び掛けていきます。

一方でマンションやアパート暮らしの方は、地域の防災活動に参加する機会が少ないかもしれません。初めから防災活動に参加するのはハードルが高いので、まずは地域のイベントやお祭りに参加し、徐々に交流を増やしていくのはいかがでしょうか。自助のためにも、地域の防災の仕組みについて知っておくことは大切です。

宮城県沖地震は今後も発生が予測され、大雨や台風は毎年のように発生するようになりました。こうした自然災害を前に、皆さんに命の守り方を伝えるのが私たちの大切な役割だと考えています。