介護経営月刊誌「介護ビジョン 2016年9月号」でサバイバルフーズの導入事例が紹介されました。
わかる・使える・明日が見える、人・モノ・カネ・情報を網羅した介護経営月刊誌「介護ビジョン 2016年9月号」の特集:天災は忘れたころにやってくる・備えておきたい防災設備・グッズでサバイバルフーズを納入いただいたお客様「特別養護老人ホーム・ぬまづホーム(静岡県沼津市)」様の導入事例が紹介されました。
CASE STUDY:賞味期限25年のサバイバルフーズで備蓄食料管理の悩みを解消
東日本大震災では多くの場所で食料不足が発生したことをきっかけに、介護施設に推奨される災害用食料の備蓄量が、従来の3日分から1週間分に引き上げられた。一方で、備蓄量の増加は、備蓄するスペースの確保、賞味期限の確認、在庫管理、廃棄の手間など、管理に伴うさまざまな問題を引き起こす。特別養護老人ホーム「ぬまづホーム」ではそうした問題を、「賞味期限の長さ」に目をつけることによってクリアしている。文・竹内三保子
ばらばらの賞味期限をどう管理するか
特別養護老人ホーム「ぬまづホーム」が誕生したのは1989年。入居者数は70人で、要介護度が高い人も積極的に受け入れている。震災等が発生すれば「福祉避難所」として近隣の要介護者を受け入れる予定のため、同ホームでは職員分も併せて合計150人分の食料備蓄をしている。
「東日本大震災前までは、150人×3食×3日、合計1350食分を3カ所に分けて保存していました」と、施設長の杉山昌弘さんは説明する。建物が倒壊するリスクも考慮すると、備蓄食料は分散して保存することが鉄則だ。同ホームでは厨房、施設長室、屋外倉庫の3カ所に分散させている。
「当施設にとって食料備蓄の最大の問題点は『賞味期限』の管理でした」と、管理栄養士の藤井靖代さんは指摘する。
たとえば、備蓄食料としてよく使用されるアルファ化米は5年、レトルト食品や缶詰は3年ほどで賞味期限が訪れる。そのたびに廃棄していてはコスト的に負担が大きいうえに、食料を捨てるのはモ ラル的にも行いづらいものだ。
「防災訓練の一環として、賞味期限を迎える前に利用者の方にアルファ化米を提供することにしていましたが、1日分を消費するのがやっとです。そのため、通常の献立に備蓄食料を取り入れて消費するという方法しかありませんでした」と、藤井さんは打ち明ける。しかし、アルファ化米は白米に比べればどうしても味が劣るし、缶詰は味が濃すぎるため、献立づくりに非常に苦しんだという。
さらに、備蓄食料は賞味期限がばらばらゆえに、備蓄量の管理も負担になっていた。日常業務の合間に行うため、気がついたら期限切れ直前で、急きょ献立をつくり直すこともしばしばあった。期限を過ぎてしまうと、数万円分を廃棄することになり、管理に神経をすり減らしていたという。
フリーズドライ商品を活用しスペース&コストを削減
そんななかで起こったのが東日本大震災だった。広範囲で地震が起こると道路が寸断されたり、救援物質がすぐには運ばれてこないことが明らかになった。そのため、介護施設などでは食料備蓄を3日分から1週間分に増やすことが推奨されるようになった。
「以前同様に缶詰などで対応していては、保管場所もありませんし、管理や消費方法にさらに悩むことになり、発想の転換が必要になりました」と杉山さん。
藤井さんはサバイバルフーズ(輸入元:株式会社セイエンタプライズ)に注目。サバイバルフーズの賞味期限は25年。管理の手間が大幅に削減される。
ネックは価格だったが、「サバイバルフーズは最初の購入金額が大きいのですが、従来品は3〜5年ごとに買い直すコストがかかります。保存期間が5年を超えると、従来品とサバイバルフーズの価格は逆転します。廃棄の手間なども減りますから、提案を受けてこれは良いと採用に踏み切りました」と、杉山さんは話す。とはいえ、一度に1350食買い換えるのは経営的にも負担が大きい。従来品との入れ替えのタイミングに合わせて数年かけて導入を進めた。
サバイバルフーズは、アメリカの凍結乾燥食品メーカー大手のオレゴンフリーズドライ社で製造される。食品中に含まれる水分の最大98%を除去することで保存期間の長期化を達成するとともに、商品自体の軽量化も実現。同ホームでは、保管場所が以前の半分程度になった。メニューは野菜シチュー、チキンシチュー、洋風雑炊、クラッカー。すべて缶に入っており、付属の缶切りで開ける。プルトップ缶にしていないのは、賞味期限を延ばすためだ。
熱湯をかけて戻せば食べられるが、熱湯がなければ水でも構わないうえ、戻さずにそのまま食べても問題はない。「(乾燥状態の中身を)手で砕いてからお湯に溶かせば、刻み食の状態になります。衛生管理が徹底できない非常事態においても、嚥下機能が弱っている人向けの食事を、包丁やミキサーを使わずにつくれることは魅力です」と、藤井さんは強調する。
サバイバルフーズとローリングストックを混合
現在、同ホームではサバイバルフーズ3日分とローリングストック4日分を組み合わせて、1週間分の備蓄食料を確保している。ローリングストックは、日常使用する食材を多めに購入し、古い順に使用して、使用した分を新たに補充し続けることで、常に一定量の食材を確保するのだが、「ローリングストックだけでは、常に1週間分の備蓄食料を150人分確保しなければならず、保存場所の確保や管理が大変です。サバイバルフーズという長期保存可能な食料があることで、食料廃棄もなくなりましたし、備蓄食料の管理などに余分な手間がかかりません」と、杉山さんは満足げに語る。
加えて、災害発生時に必ずしも管理栄養士がいるとは限らないため、同ホームでは備蓄食料を使った献立表・レシピを保管場所や各ユニットに備え付けている(図表)。
そのほか、同ホームでは年間10回以上防災訓練を実施するほか、職員の連絡網も整備し、BCP(事業継続計画)なども常に改善・改良を加えて災害対策には余念がない。「しかし、以前震度5の地震が発生した際は、十分な対応がとれませんでした。どうすれば震災後もそれまでどおりに運営できるかなど、まだまだ課題があります」と、杉山さんは気を引き締める。
■施設概要
社会福祉法人信愛会 特別養護老人ホーム「 ぬまづホーム」
静岡県沼津市下香貫猪沼981-2 TEL:055-934-1821
■企業概要
サバイバルフーズ販売元
株式会社セイエンタプライズ
フリーダイヤル:0120-138-186